誠コンサルティング 社労士事務所

創業融資のポイント

銀行が融資における審査で重要になってくるのが決算書です。
損益計算書の営業利益や経常利益が赤字になっている。貸借対照表の純資産がマイナス(債務超過)になっている等の内容ですと、銀行としては融資が出しにくくなってきます。

それでは、そのような決算書である会社は融資が受けられないのか。

決してそんなことはなく、以下のような取り組みを行うことによって、融資の確率を上げることが可能です。

・銀行から求められた資料は全て必ず提出する。

・求められていなくても経営計画書等自社をアピールするものを提出する。

 その経営計画にて将来、業績が良くなる見通しを数字で示し、達成する為の行動計画を提出する。

・資金使途(どのような理由で今回の融資が必要なのか)を明確にしたうえ、銀行へ説明する。

以下、融資審査のポイントを挙げていきます。

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融資を受けるための5つのポイント

企業の問題

決算書の問題

使用用途の問題

提出書類の問題

普段のお付き合い

企業や代表者・役員・株主に問題はないか

まず、そもそもここに問題がある場合は融資審査のテーブルにすら乗ることはできません。

銀行が融資を出せる業種であるか

銀行ごとに決められている融資を出さない業種では融資を受けることができません。
例えば信用保証協会では、農林漁業、性風俗産業、金融業、宗教法人、学校法人等は信用保証の対象
とはしていません。

・企業や代表等が反社会的勢力と関係はないか
・違法とされるビジネス、労働問題、公害など社会的な問題を起こしていないか
・代表者は犯罪を起こしていないか
・必要な許認可を取得しているか

企業や代表者に問題がある場合、決算書の内容がいくら良かったとしても、融資を受けるのが難しくなってしまいます。
うまく融資を受けるためには、金融機関から問題視されてしまうポイントを見つけ、解消しておくことが必須となります。

決算書に問題はないか

決算書には貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)とがありますが、どちらも重要なものです。
貸借対照表は決算日時点での財務状況を表し、損益計算書は会計期間の成績表となります。

銀行が審査する際に重視するのが貸借対照表内の純資産部分で、そこがプラスであるかマイナスであるかで大きく変わります。マイナスである場合は債務超過と言われ、絶対に融資が不可能ではありませんが、融資審査では大変不利になります。

また、資産の部における各勘定科目で資産価値のないもの(回収見込みのない売掛金等)がある場合、そこは資産から控除され、表面上は純資産がプラスでも実質債務超過と見なされることもあります。
とにかく純資産がプラスであること。かつその金額が大きい、自己資本率(純資産÷総資産)が高い、となれば財務的に優良企業と銀行から見られ、融資審査は有利に働くでしょう。

次に、損益計算書で重要なところは営業利益と経常利益です。
営業利益は会社の本業での利益を表し、経常利益は、借入金に対する利息や本業以外の収入や費用を加算減算した、会社の経常的な利益を表しています。
当期純利益ももちろん見ますがそこまで重視されません。なぜなら一時的な要因で発生した利益や損失で変わってくる数字だからです。

営業利益と経常利益はどちらもプラスであることが重要であり、どちらかがマイナスとなっていると返済資源が稼げない会社として、融資審査では大きな不利となってしまいます。
プラスである場合はその利益が多きいほど、また売上に対する比率が大きいほど融資審査で有利となります。

決算書は3期分の提出を求められることが通常であり、その比較や推移をもって内容を確認してきます。また、直近までの試算表の提出も求められることがほとんどですので、日ごろから試算表の作成、業績の把握をしておくことが重要となります。

融資審査では、決算書が重要であり、貸借対照表では純資産、損益計算書では営業利益・経常利益を特に注視されていることを認識しておく必要があります。

資金使途に問題はないか

資金使途とは、融資で実行された資金をどのような事に使うのか、使い道のことです。
金融機関に融資を申し込みする際には、必ず資金使途の確認が入り、金融機関に説明のつかない資金使途では融資を期待するのは無理となってきます。

例えば、いくら決算内容に問題のない会社でも、社長個人の趣味で高額なキャンピングカーを買うなど、事業に関係ないことを資金使途として融資を申し込んでも審査は通りません。
逆に、債務超過等決算書に問題のある会社でも、資金使途が金融機関の納得のいくものであれば、融資審査がとおることも多くあります。

資金使途は大きく分けて2つあり、「運転資金」と「設備資金」です。

運転資金とは、通常の事業活動の中で必要となってくる資金で、設備資金とは、建物や機械などの設備投資のための資金となります。設備資金の場合は見積書も準備し、その設備投資によりどのような効果があるのか金融機関に説明できると良いでしょう。
運転資金の用途は多岐にわたり、商品や材料の仕入れ、外注費の支払い、人件費や諸経費の支払い等は運転資金であり、賞与や納税資金も運転資金です。
資金使途の説明をしっかりと行い、金融機関を納得させることができれば、融資の確率は大きく向上します。

資金使途の説明には十分に時間をとって考えておくことが必要です。

金融機関へ提出する書類

金融機関に融資を申し込んだ際に、いろいろな資料を提出するよう金融機関から要求されます。

決算書の内容が悪く融資に不利な会社でも、要求された資料を作り込み、全て提出することにより融資が徹可能性を高めることができます
仮に、要求された書類を提出しない場合。金融機関が審査を進めてくれることはないでしょう。
多くの資料を求められ辟易される方もいるのですが、資料の提出を求めてきたということは融資審査が通る可能性があることに他なりません。
見込がなければ、そもそも資料の提出を求めずに断ってきます。資料を要求されたことに、むしろ喜ぶべきことと考えましょう。

金融機関から求められる資料には主に以下のようなものがあります。

決算書
 必ず要求されますので、税務申告は期限内に必ず済ませておいてください。

試算表
 決算の前に期の途中段階での貸借対照表・損益計算書となるのが試算表です。そもそも試算表は求められる求められないにかかわらず、経営を行っていくうえで毎月作成することが望ましいものとなります。要求されてから税理士等に作ってもらうのではなく、常日頃から作成しておきましょう。

借入金一覧表
 どこの金融機関からいくら借りていて、毎月の返済額等の一覧表です。こちらも自社の管理上、日ごろから作成し、いつでも金融機関に提出できるといいでしょう。

月次資金繰り表
 金融機関から求められるもので多いのは6ヶ月~1年先までの月次資金繰り予定表です。毎月、資金繰り予定表を作成、更新しておけば、自社の資金繰り管理をすることができ、資金不足となる月を早めに予測し、早めに金融機関に融資の相談をすることができます。

経営計画書
 経営計画書は必ず求められるものではありませんが、金融機関から求められるこのある資料です。決算書の内容が悪く、通常では融資が難しい場合、それを補う資料として審査を通す材料とするために、経営計画書を要求するパターンがあります。
経営計画書では、会社の今後の3~5年の損益計画や、それを実現するための行動計画を記載します。融資審査がこのままでは難しいと判断した場合、自主的に作って金融機関に提出したいものとなります。

金融機関が融資を行いたいと思う会社は、返した資金が必ず返済できる会社です。自社が最後まで返済できる会社であることを口頭ではなく、書面にて最後まで完済できることをアピールするために最も有効な書類となります。

これら以外でも、金融機関が審査を行う過程で様々な資料の提出を求めてまいります。
資料の提出ができなければ融資審査の継続はありませんので、しっかりとした対応が必須となります。

普段からの金融機関との付き合い

融資の審査には日ごろから金融機関とどのようにつきあっているのかも大きく影響します。

金融機関は融資以外にもいろいろな取引を行い、収益を得ております。例えば、振込、手形取立、公共料金などの口座振替、保険などです。役員・個人取引でも、給与振込や住宅ローン、投資信託等多岐にわたります。

金利が低くなったことにより金融機関も利息収入が得にくくなっている中で、利息以外の収入が重要となってきています。

融資審査の稟議書には企業の財務内容や資金使途だけでなく、その会社が融資以外にどのような取引をしているのか、そこから得られている収益がいくらあるのかも記載します。日常取引での収益を得られていることを、審査を通すための最後の一押しとして書くこともよくあり、この意見を見て、支店長や本部が審査を通すケースも見受けられます。
また、稟議書を作成する担当者も同じ人間です。常日頃から毎月少なくとも一回は顔を出し、業績の報告等をすることにより、会社に対する印象も変わってきます。

やはり好印象の会社には担当者も一生懸命に稟議書を作成してくれますので、日ごろから関係性を構築しておくことは重要となってまいります。