近年、「介護離職」が大きな社会課題となっています。
家族の介護や看護を理由に離職する人は、毎年約10万人を超えると言われています。
特に、40代後半から60代の管理職やベテラン社員層に多く見られ、企業にとっても重要な人材の離職につながっています。
一方で、家族の介護をしながら働いている人も増えており、介護と仕事の両立は決して特別な問題ではなく、多くの方が直面する可能性のある課題になっています。
制度はあるのに、使われていない現実
介護と仕事の両立を支える制度は存在しています。
しかし、実際には制度利用率は高くありません。
介護をしている雇用者のうち、何らかの両立支援制度を利用した人は一部にとどまり、介護休業制度の利用率も低い状況です。
制度があっても活用されなければ、働き続ける選択肢につながりません。
なぜ制度が使われないのでしょうか
背景には、大きく3つの理由があると考えられます。
① 制度を知らない
そもそも利用できる制度の存在を知らない。
② 制度の使い方が分からない
制度名は聞いたことがあるが、利用手順や条件が分からない。
③ 職場の雰囲気で使いにくい
制度はあっても、周囲へ遠慮して利用しづらい。
制度整備だけでなく、「利用できる環境づくり」も重要です。
介護は突然始まります
介護は、多くの場合、準備期間なく突然始まります。
その時になって初めて制度を調べ、仕事との両立方法を考えるのでは、判断が難しくなることがあります。
実際に介護離職された方からは、
「もっと早く制度を知っていれば続けられたかもしれない」
という声も多く聞かれます。
だからこそ、介護が始まる前から情報共有や社内周知を行うことが大切です。
国も仕事と介護の両立支援を重要なテーマとして動き始めています
介護離職や育児離職は、個人や家庭だけの問題ではなく、企業活動や社会全体にも影響する課題として注目されています。
働き手の確保が重要になる中で、国も「働き続けられる環境づくり」に力を入れ始めています。
最近では、介護や育児などによる負担を軽減するため、家事支援や生活支援サービスをより利用しやすくする方向性も検討されています。支援サービスの質や安心感を高める仕組みづくりも議論されており、今後は制度の整備や利用環境の変化が進んでいく可能性があります。
その一つとして注目されているのが、家事支援サービスの国家資格(技能検定)創設の方針です。
こうした動きの背景には、「介護や育児があっても働き続けられること」が、企業にとっても社会にとっても重要になっているという考え方があります。
今後は、制度があるだけでなく、必要なときに使いやすい環境や、相談しやすい職場づくりもより重要になっていきそうです。
これから企業に求められること
政府も、育児や介護による離職防止を重要な課題として位置づけています。
労働力不足が進む中で、人材確保の観点からも、働き続けられる環境づくりは経営課題になっています。
企業としてできることは、
- 制度の周知
- 管理職への理解促進
- 相談しやすい環境づくり
- 両立支援制度の整備
- 社内研修の実施
など、決して特別なことではありません。
人を大切にする会社づくりへ
介護離職は、本人だけの問題ではありません。
会社が少し環境を整えることで、働き続けられる可能性が広がることがあります。
介護と仕事を両立できる職場づくりは、結果として人材定着や組織づくりにもつながります。
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